ディケンズ・フェロウシップ日本支部

GREAT EXPECTATIONS

『大いなる遺産』

主な登場人物作品の梗概
 




主な登場人物



作品の梗概

物語は、少年ピップが墓場で、脱獄囚に食物とやすりを持って来いと命ぜられることに始まる。ピップは自分の夕食のパンをズボンに隠しておき、さらに、夜、食料室から飲食物を盗んで、翌朝囚人の所へ持って行く。その途中で、別のもっと若い囚人の姿を見る。

二人の囚人は兵士に捕えられる。ピップが食物を与えた囚人は、食物を盗んだのは自分だと言う。ピップが罰を受けないようにとの配慮であった。

ピップは、ミス・ハヴィシャムの満足荘に招かれ、パンブルチュック叔父に連れられて行く。彼は美しくて高慢な少女エステラに導かれてミス・ハヴィシャムの前に出る。彼女は愛人に裏切られてから隠遁生活を送っている。そして、男性すべてを憎んでおり、ピップを招いたのも、彼がエステラに悩まされるのを見るためであった。次に訪問したとき、彼はミス・ハヴィシャムの親戚のひとりである「青白い若紳士」と格闘する。

ピップが義兄の鍛治屋ジョー・ガージャリーの徒弟になれる年になったとき、ミス・ハヴィシャムはジョーに二十五ギニーを与える。ガージャリー夫人は何者かに教われて重傷を負う。下手人は職人のオーリックだろうと、ピップは確信している。ガージャリー夫人が働けなくなったため、ジョンは若い孤児ビディーに家政婦として来てもらう。ピップは彼女に、自分は紳士になりたいと言う。

ロンドンの弁護士ジャガーズが村に来て、ピップはある人から莫大な遺産を受けるはずだと告げる。ただしその恩人の名は言えぬという。ピップは徒弟契約を解いて、上等の服を作り、ミス・ハヴィシャムに別れを告げてロンドンに行く。ロンドンでジャガーズの事務所を訪れ、ジャガーズの事務員ウェミックに連れられてバーナーズ・イン(Barnard's Inn)に行き、ミス・ハヴィシャムのいとこで、彼の家庭教師になるはずのマシュー・ポケット(Matthew Pocket)のむすこハーバートに会う。それは、ピップが以前満足荘で格闘した相手の「青白い若紳士」であった。二人は親友になり、インの部屋にいっしょに住むことになる。ピップはウェミックとも親しくなり、彼の城を模して造った家に招かれる。

ハーバートはピップに、ミス・ハヴィシャムの過去について語る。ピップは自分に遺産を贈ってくれるのは彼女だろうと信じるようになる。ピップはジャガーズの家に招かれ、そこの家政婦に異常な印象を受ける。また、同席したベントリー・ドラムルには反感をいだく。

ミス・ハヴィシャムがピップを迎えによこす。満足荘では今やオーリックが門番になっている。フランスで教育を受け、成長していっそう美人になったエステラにもピップは会う。ピップは彼女が、だれかに似ていると感じるが、思い出せない。ミス・ハヴィシャムはピップに彼女を愛するように勧める。その後間もなく、ピップはエステラがロンドンに来るという通知を受ける。彼は彼女を迎え、リッチモンド(Richmond)までいっしょに行く。彼女は親しそうにはするが、冷たい。ピップは悩む。

ピップが成年に達する直前に姉が死ぬ。彼はジャガーズから、例の恩人の贈り物として五百ポンドを受け取る。彼は何度かエステラを訪れ、彼女がドラムルの求愛をそそのかしているのを責める。

ある夜、ピップに訪問者がある。それが子供のとき会った囚人であるのを思い出して、ピップは恐怖に駆られる。この男はエイベル・マグウィッチ、別名プロヴィス(Provis)といい、彼がピップにかつての助力の礼に金を贈ることにしたのだと語る。彼はオーストラリアで羊の飼育で成功したので、ピップをその金で紳士に仕立て上げようと決心したのであった。彼は、もしイギリスに帰国したことが知れれば、自分は死刑になるとピップとハーバートとに言う。二人は彼をかくまうことにする。彼は自分の過去について語る。それによって、悪党コンペイソンおよびミス・ハヴィシャムの異母兄アーサー・ハヴィシャム(Arthur)と彼との関連がわかる。

ピップはミス・ハヴィシャムを訪ねて、判明した事実について語り、今後もハーバートを援助してくれるよう頼む。ピップはエステラがドラムルと婚約したことを聞かされる。

マグウィッチは安全を期して、ハーバートの許婚者クレアラ・バーリー(Clara Barley)の家に移される。彼を外国へ送り出す計画が練られる。ピップはミス・ハヴィシャムを訪ねると、彼女は彼とエステラに対してなした事の罪深さを悔いている。彼女の話から、ピップは、エステラがジャガーズの家政婦の娘なのだという確信をいだく。後にそれが真実で、マグウィッチが父親なのだということがわかる。ミス・ハヴィシャムの衣服に火がつき、ピップは彼女を救い出すが、その後間もなく彼女は火傷で死ぬ。

ピップは湿地の石灰がまの所へ夜来るように呼び出される。オーリックが待っていて彼を殺そうとする。オーリックは鍛冶屋時代以来ピップを恨んでいたと言い、彼の姉を襲ったのも自分だと告げる。マグウィッチの後をつけてピップの部屋まで来たのも彼であり、今彼はコンペイソンと組んで、マグウィッチの逃亡を阻止しようとしているのであった。ピップは駆けつけた友人たちによって危うい所を救われる。

マグウィッチ救出の作業が始まる。ピップとハーバートがマグウィッチを乗せてテムズ河を下る舟が、警官の舟に停止を命ぜられる。その舟にはコンペイソンが乗っている。マグウィッチはコンペイソンと水中で争い、コンペイソンは溺死し、マグウィッチは重傷を受ける。マグウィッチは裁判にかけられ、獄の病室に入れられる。ピップは彼を訪れ、彼の娘が生きていることを告げる。その直後に彼は死ぬ。

ピップは重い病気になる。ジョーが来て何週間も看護するが、彼の意識が回復しそうになると帰ってしまう。ピップは自分の大財産相続の夢が何のよい結果ももたらさなかったことを思う。彼はかつて自分を愛してくれたビディーに求婚しようと思って帰郷するが、その日は彼女とジョーの結婚式の日であった。

ピップは財産を売り払い、債権者に支払いをし、東洋で事業に従っているハーバートの所へ働きに行く。11年後に帰国して、満足荘の跡を訪れると、庭を歩いているエステラに会う。彼女は今は未亡人で、やさしい女性になっている。

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