ディケンズ・フェロウシップ日本支部

OUR MUTUAL FRIEND

『互いの友』

主な登場人物作品の梗概
 




主な登場人物



作品の梗概

ガファー・ヘクサムは、テムズ河から死体を引き揚げることで生活している。彼の相棒はロージャー・ローグ・ライダーフッド(Roger)である。ヘクサムと娘のリジーは河から、ある男の死体をさがし出す。彼はそれから得られる報酬をリダーフッドには分けてやらないと言う。

ロンドンの新区域の新住宅に成り上り者のヴェニアリング夫妻が住んでいる。夫妻の催した晩餐会で、若い弁護士モーティマー・ライトウッド(Mortimer Lightwood)が、ごみの山で財を成したジョン・ハーモンの話をする。彼はむすこのジョンが、姉の扱いについて抗議したので彼を家から追い出した。むすこは外国で生活していたが、父の死で帰国することになったという。話の途中でライトウッドはジョン・ハーモン青年の死体がテムズ河で見つかったという報告を受け、友人のユージーン・レイバーンとヘクサムの家へ行く。そこでジュリアス・ハンドフォード(Julius Handford)と名のる青年が、やはり死体を見に来ているのに会う。

ジュリアス・ハンドフォードとは(物語の半分ほど進むまで明かされないが)、実はジョン・ハーモン青年その人なのである。彼はケープから船で帰る途中、彼と姿の似ている三等航海士と服装を代え、人間も入れ代わって自分は正体を隠して、父に決められた許嫁ベラ・ウィルファーを観察しようと考えた。もし彼が彼女と結婚しなければ、父の遺産はニコデマス・ボフィンのものとなるはずである。

船がイギリスに着いたとき、三等航海士はハーモンに麻薬を飲ませて金品を奪ったが、彼自身が下宿で他の者に襲われた。ハーモンも航海士も河に投げ込まれ、航海士は死んで、彼の死体がハーモンのものと誤認されたのであった。ハーモンは河からはい上がって助かったのである。

今は公式には死んだことになったので、ハーモンは仮名で生活する計画を続けようと決心する。ジョン・ロークスミスと名のった彼は、ヴェニアリングの会社の社員ラムティー・ウィルファー(Rumty)の家に下宿する。この家には気性の荒い妻と二人の娘ベラとラヴィニア(Lavinia)がいる。彼は、ベラが美しいが、虚栄心が強く、金に執着が強すぎるのを知る。

ボフィン氏は今はハーモンの財産の支配人である。彼と妻とは、自分たちにころげ込んだ遺産を喜ぶどころか、ジョンのものと思われる死体の発見されたことを悲しみ、犯人を捕えた者に一万ポンド与えると広告する。ボフィン夫人は、愛していたジョンの代りとして育てるため孤児を養子にしようとする。また、夫妻はベラに自分たちの家に来ていっしょに住むように説く。彼女は喜んで承諾する。ウィルファーの家で夫妻はジョン・「ロークスミス」に会う。彼のことをボフィンは「互いの友」と呼ぶ。ジョンはボフィンの秘書になる。ボフィン夫人は、ジョンが家にはいって来たとき、老ハーモンとそのむすこと娘の顔を思い出す。

ボフィン夫妻は、ベティー・ヒグデン(Betty Higden)の孫ジョニー(Johnny)を養子にしようとするが、彼は病院で死ぬ。ベティーは救貧院に入れられるのを嫌って家出し、疲労で死ぬ。

ジョンとベラの物語と平行して、リジー・へクサムをめぐる話が展開する。彼女はレイバーンおよび、彼女の弟の教師ブラドリー・ヘドストーンの興味を引く。彼女の父親が、ジョン・ハーモンと思われている男を殺したとして非難された後、事故で溺死したので、リジーはウェストミンスター(Westminster)へ行って、ジェニー・レン(Jenny Wren)と呼ばれているファニー・クリーバー(Fanny Cleaver)の家に住む。ジェニーは人形の着物を作って酒飲みの父親を養っている。ヘドストーンがリジーにうるさくつきまとうようになるので、彼女は親切なユダヤ人ライア(Riah)に頼んで、ロンドン郊外の紙工場に仕事をさがしてもらう。

上流社会では、ジョン・ハーモンのことが話題になっている。ヴェニアリング夫妻は、ボフィンに彼の秘書は策士だという。ジョンはベラに求婚するが、金のない人に興味はないと断わられる。ボフィンは、秘書がジョン・ハーモンだと見破っているが、ベラの気持を改めさせるため、ジョンを迫害する振りをする。また、ボフィンは吝嗇漢になったように見せかける。ついにジョンは解雇される。ベラは同情して後を追い、彼と結婚する。しかし、彼女はまだ彼をロークスミスという人だと思っている。

レイバーンはリジーをさがし当てる。しかし、彼はヘドストーンに尾行されている。レイバーンはリジーに求愛するが、身分の違いを理由に断わられる。ヘドストーンは、レイバーンがリジーの愛を得たものと思い、リジーと別れた彼を襲い、河に投げ込む。リジーがレイバーンを救って看護し、彼に結婚の約束をする。ヘドストーンは、自分を恐喝していたライダーフッドに会い、格闘して二人とも死ぬ。

ジョン・「ロークスミス」は、モーティマー・ライトウッドに会う。彼によってジョンの正体が明らかにされる。

老ハーモンの財産を国庫に寄贈するという遺言が見つかり、次にボフィン夫妻を名指した、日付けがさらに後の遺言が見つかる。ボフィンは惜し気もなく財産をジョンとベラに譲る。

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