ディケンズ・フェロウシップ日本支部

支部長挨拶:佐々木 徹


豊さがここにある

「豊さがここにある」。この言葉はディケンズの長編第三作、『ニコラス・ニクルビー』に出てきます。悪徳校長スクイヤーズが、腹をすかせている子供たちを目の前に、自分ひとりミルクを飲む時の言葉です。いかにもディケンズらしい、皮肉なユーモアの入った滑稽なセリフですが、ここではそれを文脈から取り出して考えたいと思います。なぜなら、私は何よりディケンズという作家の「豊さ」に感銘を覚えるからです。数多くの作品に数多くの登場人物――まさにディケンズの文学世界は汲めども尽きぬ豊さに満ちています。ディケンズ・フェロウシップはこの豊かさを愛する人たちの集まりです。日本には個人作家の名前を冠した団体がいくつもありますが、われわれの集まりはユニークなものです。というのも、それは学会ではなく、フェロウシップ、つまり友愛団体だからです。研究者のみならず、ディケンズを愛する人ならだれでも入れる、真剣かつ愉快な集まり――そんな集まりを私は目指します。

佐々木 徹


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