コークタウンに住むトマス・グラドグラインドの家庭は「事実」に支配され、また、彼の経営する学校でもやはり事実だけが重んじられる。彼は生徒のひとりで、サーカスの道化の娘シシー・ジュープの非現実的な感じ方を嫌うが、彼自身の子供ルイーザとトムがサーカスをのぞき見しているのを見て驚愕する。彼と、高慢な実業家バウンダービーは、シシーを学校から追放しようとするが、彼女の父親が行方不明になったので、グラドグラインドは彼女を自分の家に引き取る。
バウンダービーの工場の職工スティーヴン・ブラックプールは、だらしのない酒好きの妻と別れてレイチェルと結婚したいと思い、バウンダービーに相談するが、現行の法律の下では不可能であると知る。彼はバウンダービーの家の側で会った老婆からバウンダービーについて根掘り葉掘り質問される。レイチェルはスティーヴンの妻の看護をし、彼女が毒を飲もうとするのを止める。
バウンダービーがグラドグラインドを通じてルイーザに求婚する。性格や年齢の差をも顧みず、ルイーザは承諾する。バウンダービーの家政婦スパーシット夫人は、この報を聞いてショックを受ける。
ルイーザの結婚生活は不幸である。バウンダービーと政治上の仕事で関係のあるハートハウスは彼女に興味を持ち、トムを利用して彼女の心を奪おうとする。
バウンダービーの銀行に泥棒がはいり、プラックプールが疑われる。彼はバウンダービーの工場を解雇されたのを恨んでいるものと思われているからである。銀行の職員ビツァー(Bitzer)が彼に不利な証言をする。ルイーザはトムの犯行ではないかと思い、ハートハウスがそれを否定しても疑いは消えない。スパーシット夫人はルイーザとハートハウスの行動をスパイする。二人がバウンダービーの田舎の家で会おうとしているのを知り、二人の跡をつけ、ハートハウスがルイーザを誘惑しようとして言っていることばを盗み聞きする。ルイーザはコーククウンに引き返すが、スパーシット夫人はさらに証拠を握ろうとして跡を追う。しかし、ルイーザは父の家に行き、自分に向けられた誘惑について語り、父の保護を求める。グラドグラインドは自分の教育法の誤りに気づく。バウンダービーはルイーザと別れる決心をする。シシーはハートハウスに会って、ルイーザに関する希望を捨てるように説得する。
ブラックプールは仕事を求めてコークタウンを離れ、バウンダービーは彼をつかまえた者に賞金を与えると言う。シシーとレイチェルは廃坑のそばでブラックプールの帽子を見つけ、やがて彼が坑の底に重傷を負って倒れているのが見つかる。死ぬ前に彼はグラドグラインドに自分の嫌疑を晴らしてくれるように頼み、トムが事実を知っているはずだと言う。
スパーシット夫人はバウンダービーに対する恨みから、ペグラー夫人をさがし出す。この人がバウンダービーが存在を隠していた彼の母親で、彼の生い立ちについての自慢がすべて嘘だったことがわかる。
グラドグラインドは、ルイーザとシシーから、トムこそ銀行泥棒で、彼は今サーカスにかくまわれていることを知らされる。三人が訪ねて行くと、彼はサーカス芸人の扮装をしている。ビツァーがトムの逃走を妨げようとするが、サーカス団長スリーリーの努力でトムは国外に逃げる。
トムは外国で死ぬが、病床からの悔悟の手紙がルイーザに届く。ルイーザは再婚しないが、やさしい婦人になる。グラドグラインドは年取るまで生きて「事実と数字とを、信仰、希望、愛に従属させる」ようになる。